「ピンクカード」と聞いて秘密クラブの会員証を思い浮かべて
しまった方がいらっしゃるのも無理はありません。
実際に「ピンクカード」というキーワードで検索すると、
様々なカードが出てきます。
ただし、今回のお話は、ピンクカードはピンクカードでも、
「申請取次行政書士であることを証明する届出証明書」
についてのお話です。
「申請取次行政書士」とは、出入国管理に関する一定の研修を
受けた行政書士で、申請人に代わって申請書等を提出することが
認められた行政書士です(日本行政書士会連合会HP)。
すなわち、外国人の方が日本で働いたり部屋を借りたり留学したり
する場合に必要となる在留資格を得るための手続を、行政書士が
代理人として行うことができるということです。
ピンクカードを取得するには「申請取次事務研修」と「効果測定」
を受け、一定の基準をクリアする必要があるのですが、
私自身はまだ取得していないので、今回は先週行われた研修後の
復習を兼ねたブログということになります。
まずは、大まかに帰化・永住・在留許可をまとめた表。
帰化 | 永住 | 在留許可 (取得・変更・更新) | |
申請者 | 本人のみ | 申請取次 行政書士可 | 申請取次 行政書士可 |
提出先 | 法務局国籍課 | 入国管理局 | 入国管理局 |
手数料 | 無料 | 8,000円 | 無料~4,000円 |
期間 | 6~10か月 | 4か月 | 2週間~2か月 |
効果 | 日本国籍を 取得する | 外国籍のまま | 外国籍のまま |
収益活動 | 制限なし | 制限なし | 原則制限あり |
更新 | 不要 | 不要 | 必要 |
許可後の手続 | 帰化届 在留カード返納 |
査証発給申請 外国人登録変更 |
査証発給申請 外国人登録 |
取消 | 消滅しない | 取消の可能性 あり | 取消の可能性 あり |
不服申立 | なし | なし | なし |
再申請 | 可能 | 可能 | 可能 |
帰化は本人出頭主義がとられているのに対し、在留許可・永住は
申請取次行政書士による代理提出が認められています。
確かに本人の同一性の確認及び申請意思の確認の必要性の観点
からは本人出頭主義が求められますが、反対に代理提出を認める
ことにより本人の負担軽減、事務処理の効率化・円滑化につながります。
特に申請取次行政書士の場合は、
「日本行政書士会連合会→入国管理局→法務省」という
一連の信頼関係の流れが代理提出制度を担保していると言えます。
続いて、大まかな帰化・永住・在留許可の原則的要件。
【帰化要件】
①引き続き5年以上日本に住所を有すること
②20歳以上で本国法によって能力を有すること
③素行が善良であること
④自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能
によって生計を営むことができること
⑤国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を
失うべきこと
⑥日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に
成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、
又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、
若しくはこれに加入したことがないこと
【永住許可要件】
①素行が善良であること
②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
③健康であること
④身元保証人があること
⑤その他
【在留許可要件】
①申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のもの
でないこと
②出入国管理及び難民認定法別表第一の下欄に掲げる活動
又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の
下欄に掲げる地位を除く。)を有する者としての活動の
いずれかに該当すること
③在留資格の取得を適当と認めるに足りる相当の理由があること
大まかすぎて正直ちょっとよくわかりません。
イメージを膨らませるとすれば、帰化・永住要件として
素行善良・独立生計という共通点があり、おそらく品行方正で
生活が安定していることという意味でしょうが、日本人が
日本人であるというだけで国内で自由に活動できることに
比べると、格段のハードルの高さを感じます。
因みに、横浜入国管理局(正式名称:法務省東京入国管理局
横浜支局)はいかにも異国情緒あふれるヨコハマという
華やかな場所ではなく、工場の立ち並ぶ海べりにあります。
しいていえば、近くに横浜ベイサイドマリーナというアウトレットモールがあるのがロマンティックと言えなくもありません。
10日前の12月9日が研修で、約2週間後に結果発表ということ
だったので、今年はピンクカードがクリスマスプレゼントになると
いいなと思います。
【参照】
法務省
◆「行政書士の実務
帰化・永住・在留許可申請業務[第2版]」
木本博之
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